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退去立会トラブル対処・気を付けるべきこと ~違法な請求編~

退去立会トラブル対処・気を付けるべきこと 違法な請求編

退去立会トラブル対処・気を付けるべきこと
~違法な請求編~

賃貸住宅の退去立ち会いは面倒なものですが、きちんと行っておかないと高率にトラブルの元となります。今回は退去立ち会いの目的と退去立ち会い時によくあるトラブル、その対処法と気を付けるべきことなどについてわかりやすくまとめました。

 

退去立会の目的

賃貸住宅からの退去に入居者・オーナーの双方が立ち会う「退去立ち会い」には、次のような目的があります。

  • 私物の撤去が終わっていることをお互いに確認すること

  • 入居者側からオーナー側に鍵を確実に返すこと

  • 室内の汚れや傷の程度についてお互いに確認すること

このうち最も重要なのが3つ目です。室内の汚れや傷は、「普通に使用していてできたもの」と「それ以外のもの」に分けられます。入居者はオーナーに対し、借りていた部屋を元の状態に戻して返す「原状回復」義務があるため、住んでいる間についた汚れや傷が「普通に使用してついたものか。それ以外のものか」について確認を行う必要があるのです。

 

退去時によくあるトラブル

退去立ち会い時に最もよくあるトラブルは、この「室内の汚れや傷」にまつわるものです。ドアが壊れているなど明らかに入居者側に落ち度がある場合はともかく、ちょっとした汚れや傷がある場合、どこまでが通常の使い方でできたものなのかについて、入居者側とオーナー側で意見が合わないことがとても多いのです。通常の使い方でできた汚れや傷はオーナー負担で修繕することになるのですが、中には想像もつかないような汚れ方をしていても「通常通り暮らしていた」と言う入居者もいます。また入居者側が非を認め修繕費用の負担を了承したものの、修繕費が想定よりも高額となり敷金が返ってこないなどのケースもよくみられます。

また、ペットをこっそり飼っていた人は特に注意が必要です。どれだけ一生懸命に掃除をして隠しても、ペットを飼っていた痕跡は残るものです。ペットによる汚れや傷は通常使用による経年劣化や通常摩耗の範囲外となり、修繕費用の全てが入居者負担となるほか、契約内容によっては違約金を払う必要があることもあります。

 

退去立会トラブルは法的に解決可能

お互いにストレスの溜まる退去立ち会いトラブルですが、かなりの部分は法律で明確に定義されるようになりました。一般的に用いられているのが、国土交通省が発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン*1」です。この他2020年の民法改正により、法律で原状回復の在り方や敷金の扱いが明確に定義されました。これまで業者間の慣行でなあなあとなってきた部分もある原状回復や敷金のあり方が法で定まったことにより今後は退去立ち会いトラブルも減ってくることが予想されています。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン*1」によると、普通に生活する範囲でできた汚れや傷(経年劣化や通常損耗)についてはオーナーが修繕する一方、入居者の故意・過失でできた汚れや傷は入居者側に修繕する義務があります。具体的な例をあげてわかりやすく書かれていますので、賃貸住宅に関係のある方はぜひ一度読んでおくと良いでしょう。

例えば床の傷を例に取ると、畳の表替えや裏返し、家具の設置によるカーペットの凹み、フローリングのワックスがけなどはオーナー負担、引越し作業でできた引っ掻き傷は入居者側の負担となります。

 

原状回復とは

原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」を指します。

つまり前述の通り、入居者がわざと、または不注意で汚した・壊したもの、または明らかに普通に暮らしていてできたものではない汚れや傷の修繕費用は入居者側が、それ以外の汚れや傷(通常の使い方や住まい方をしていても経年劣化や通常摩耗(摩耗)発生するもの)の修繕費用はオーナー側が負担するべきということです。

 

経年劣化・通常摩耗とは

経年劣化とは、「建物・設備等の自然的な劣化・損耗等」を指します。また通常摩耗(まもう)とは、「賃借人の通常の使用により生ずる損耗等」を指します。

退去立会時に気を付けるポイント

退去立ち会い時には、室内の損傷度合いについてしっかりみておく必要があります。入居者とオーナーが一緒に部屋を見ながら、修繕が必要な箇所について、入居してからついたものなのか、また通常の使用により生ずる程度以上のものなのかどうかについてお互いに確認を行うことが大切です。

また退去立ち会いトラブルを避けるためには、新築以外の賃貸物件の入居時には室内の写真を撮っておくことをお勧めします。退去時に、汚れや傷がいつできたのかが問題となるケースがよくあるからです。入居時の損傷箇所についてはチェックリストを作っている管理会社もあるようですが、文章だけでは具体的な損傷箇所がわからず話がこじれることがあります。またチェックリストを使用する際には必ず入居者・オーナー側双方で確認を行い、サインをしておきましょう。

また賃貸借契約時に特約を定めていた場合は、特約の規定が優先される場合があります。例えば、法律上は経年劣化による汚れや傷はオーナー負担となるところですが、「退去時には新築同様にして返す」などの特約があれば、入居者負担で修繕を行う必要があります。またハウスクリーニングの費用を入居者負担にするような特約もよくあります。これらは本来はオーナー側が負担すべき費用ですが、入居者が特約について納得していたとみなされれば、入居者側に支払い義務が生じます。賃貸借契約時には契約書の内容をきちんと吟味し、わからない点は確認してから契約を結ぶようにしましょう。また不動産屋との口約束は鵜呑みにせず、取り決めは全て明文化しておくことをお勧めします。

ただし地域によっては敷金を一切返還しない代わりに一般的な原状回復はオーナー側で全て行うという慣習が残るところもあるようです。トラブルになりそうな場合は、地域の実情に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。

 

代理で交渉ができるのは弁護士のみである

ここで気をつけたいのが、退去費用にまつわる代理交渉です。オーナーとしては日常の家賃回収業務と同じように考え、入居者側との退去費用の交渉を管理会社に依頼しがちです。また最近は「敷金返還代行サービス」と銘打って、入居者側から依頼を受けてオーナー側と交渉を行う業者も複数存在するようです。ところがこれらの行為は「非弁行為」として法律違反となり、刑事罰を受ける可能性があります。

「非弁行為」とは、「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすること」です。弁護士法72条に定められており、違反すると刑事罰の対象となる可能性があります。ちなみに行政書士や司法書士、税理士などもそれぞれの職分の範囲内で退去立ち会いに関わることはできますが、報酬を得て交渉するのは弁護士の独占業務です。

入居者・オーナー側いずれの立場においても、本人および弁護士以外の者が交渉を行うと「非弁行為」にあたる可能性が高いので、退去立ち会いトラブルに巻き込まれたら弁護士に相談するのがベストです。

 

退去立ち会いトラブルは弁護士へ相談を

原状回復ガイドラインの制定と2020年に改正された民法によって、退去立ち会いトラブルは確実に減少傾向にあります。それでもやはり、賃貸住宅を退去するときには不安がつきものです。弁護士であれば退去時の立ち会いにも問題なく同行できますので、ご心配な場合はお気軽に相談してみてください。

*1 国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf


この記事を監修した人

平松剛法律事務所 東京事務所

https://www.hiramatsu-go-law.com

弁護士

小林 義典 Yoshinori Kobayashi

弁護士は敷居が高いとお考えの方もまだまだ多いと思いますが、些細なご相談から思いがけない解決を導けることも多くあります。
ご自身だけで抱え込まずに、是非一度ご相談いただければと思います。

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